どうも、黒井みなみ(@961373)です。
しばしば「アイデアはあるんだけど物語が作れない」とか「アイデアはあるんだけどそれを形にできない」という話を聞きます。
その原因はズバリ「アイデアを記号化できていないから」です。今回は「アイデアを思いついたらその場で記号化すること」について。
ストーリー作りがむずかしい理由は?
アイデアの作り方やストーリーの作り方が分からない。ではどうして「分からない」のでしょうか。
ストーリー作りの始まりは「アイデアが生まれた瞬間」です。
つまりストーリー作りは「頭のなか」で始まるんですね。メモを取るくらいのことはするかもしれませんが、ストーリー作りはしばしば「頭のなかだけで」行われてしまいがち。
ぼくたちの頭は「長編小説1作品分の内容」をすべて記憶し、さらに「その内容をいじり倒す」ことができません。
だから「アイデア」を思いついたらその場でアイデアに「形」を与えてやる必要があります。それをぼくは「アイデアの記号化」と呼んでいます。
アイデアの記号化が必要な理由は?
アイデアの記号化を行う理由は「2つ」あります。ひとつが「アイデアに形を用意したい」から。もうひとつは「最初に全体像を把握したい」からです。
まず「骨」とも言える全体像を把握して、それから「肉付け」していくということを頭に叩き込んでください。アイデアを思いついたら「妄想を膨らませる前」に「ざっくりとした物語の全体像」をつかむこと。
物語の全体像を「見える化」してからざまざまな方向に「思考」していきます。「妄想」ではなくあくまでも「思考」すること。
妄想することも大事ですが、妄想だけでストーリーを作ろうとすると必ず「矛盾」します。その矛盾を正すために「つじつま合わせ」を行うと、また別の場所で矛盾が。それを正そうとしたらまた別の場所で・・・。と矛盾とつじつま合わせを繰り返す羽目になってしまうんですね。
ストーリーの矛盾を防ぐためにも「アイデアの記号化」「物語の見える化」を行ってください。
先に全体像を把握することができれば「物語の終わり」から逆算して「この辺りでこういうエピソードが必要だ」ということが分かるようになります。
すると「理詰めで伏線を張る」ことができるようになり、作品の深みが増します。
アイデアの記号化
ストーリーの全体像をざっくりとつかむには「記号化」するといい。やり方としては「一直線のプロット」を作ること。
こんな主人公が、
色々なことを経験して、
こういうふうに変化していく話。
このようなテンプレートに、あなたのアイデアを当てはめてみてください。これはあくまでも「記号化のひとつ」であり上の形にする必要はありませんが、おおよその作品は上のような形になっています。
たとえば「イジメ」をテーマにした作品なら・・・
テーマ「イジメ」の場合
- イジメを受けている弱虫な男の子に
- はじめて友だちがてきたことにより
- イジメに屈しない強い子に成長する
こんな感じ。
これだけ見ると「よくある話だな」という感じですが、これはあくまでも「物語の骨」です。この「物語の骨」をこしらえた上でそこに「肉付け」していきます。
記号化したアイデアにエピソードで肉付けする
50から100文字程度で「記号化」したアイデアに、さまざまなエピソードでもって肉付けを行います。多くのひとは「一直線のプロット」を作ることによる「記号化」をすっ飛ばして、いきなり「エピソード作り」に入ってしまうから上手くいかないんです。
先ほどの「一直線のプロット」にエピソードを肉付けしていきましょう。
- イジメを受けている弱虫な男の子に
- はじめて友だちがてきたことにより
- イジメに屈しない強い子に成長する
先ほどのプロットでは「はじめて友だちができたことにより」から「イジメに屈しない強い子に成長する」までの間にギャップがあり、違和感を覚えますね。
では、その2つの間にエピソードで肉付けしましょう。
- はじめて友だちができた
- その友だちまでイジメられるようになってしまう!
- イジメに屈しない強い子に成長する
まだギャップがありますね。
では、もうひとつエピソードを付け足しましょう。
- はじめて友だちができた
- その友だちまでイジメられるようになってしまう
- 友だちを守るためにイジメっ子に立ち向かう!
- イジメに屈しない強い子に成長する
こうしてエピソードで肉付けしていき「筋が通る」ようにしていきます。
最初に「一直線のプロット」という形に「記号化」したことで「物語の全体像」は見えていますから、あとは「間を肉付けしていくだけ」ですね。
あとがき
アイデアを思いついたら即「記号化」して「物語の全体像」をつかむ。最初から最後までの流れが分かっているから「逆算」してエピソードを「肉付け」していく。
創作は「一歩ずつ着実に」進めていきましょう。
地図を持たずに家を出る「ゆくあてのない旅」も良いですが、エンターテイメント作品は「旅行会社が企画した観光名所めぐりの旅」みたいなもの。すべてのベストセラーには良いも悪いも理由があり、すべてのシーンは良いも悪いも作者の意図が張り巡らされています。
コメント